摘要: |
—「クルマ文化を醸成する」というのがトヨタ博物館の使命と聞きます。CASEに代表されるようにクルマが大変革期にある中で,社会にどんなメッセージを発信していますか?布垣:ただ過去を振り返る歴史展示ではなく,将来を考えるヒントを提供できる博物館を目指しています。そしてクルマ文化として変わらない価値を伝えることでしょうか。当館では,時代ごとに13のゾーンに分けてクルマを展示しています。従来,2階の展示は世界初の自動車として知られる1886年製のベンツ•パテントモトルヴァーゲンから始まり,年代順にガソリン車を続けて展示してきました。なぜこのような構成になっているかというと.われわれがクルマの歴史=内燃機関車の歴史だと考えてきたからです。しかし,実は自動車の黎明期にはすでにガソリンエンジンだけでなく多様な動力源が存在していました。技術的に十分洗練されていた蒸気機関自動車や電気自動車が市販され.ガソリン車と競合していました。その後,エネルギー効率の関係からガソリン車が市場を席巻するようになり.ほぼ1世紀にわたつてガソリン車の時代が続きました。そして今再び電気自動車(EV)の時代が来ようとしています。 |