摘要: |
近年,企業経営において「人的資本」が重要視されるようになっている。そのことは,「人的資本」の情報開示要請が高まっていることから見て取れる。国際的な動向として,国際標準化機構(ISO)は2018年12月,人的資本情報開示に関する国際標準ガイドラインである「ISO30414」を公表。米国でも.2020年8月,証券取引委員会(SEC)が,上場企業の人的資本の開示に関するRegulation S-Kの改訂を公表した。国内の動向として,内閣官房は2022年8月,「人的資本可視化指針」を公表。金融庁は2022年6月,「金融審議会ディスクロージャーワーキング•グループ報告」を公表し,有価証券報告書において,人的資本に関する記載項目を含む非財務情報開示の充実を求める方針を示した。これを受けて,2023年1月,「企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令」が公布•施行された。原則として,2023年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書等から適用されることとなる。経済産業省も2022年5月,人的資本経営の基本的な概念や考え方を整理した「人材版伊藤レポート」の第2弾となる「人材版伊藤レポート2.0」を公表。2022年8月には,「人的資本経営コンソーシアム」も設立された。同組織は,人的資本経営の実践と開示を促進するため,情報の収集•発信と普及を行うことを目的に活動を行っている。 |