摘要: |
2023年を迎えた世の中は,新型コロナ禍,ゥクラィナ侵攻問題と,世紀的な問題が終結の道が見えず,明るい未来への展望をなかなか語る状況ではないようである.このような状況下においても,土木の重要さは変わらない.ウクライナの今後の復興を考えれば,平時以上に重要であろう.今世紀は持続可能な開発目標(SDGs)の達成,そのための重要なファクターであるカーボンニュートラル(Carbon Neutrality,CN)の達成が最重要課題であり,それにはインフラの貢献がなくてはならない.持続可能な発展には3っの要素がある.社会的要素,環境的要素,経済的要素である.インフラは3つの要素すべてに重要な役割を果たし,それら3つをつなぎ合わせ強靭なものとするとThe Economistは述べている.Thackerらは,種々あるインフラは17あるSDGsのすべてに貢献し,SDGsの下にある169の達成基準のうち72%に貢献するとしている.一方,Minsonは,コンクリート構造物は17のすベてのSDGsに貢献し,169の達成基準のうち81の達成基準(48%)に貢献できると結論している.ィンフラを直接明示しているSDGsの9番目と11番目の開発目標)だけにインフラが貢献するということではないのである.CNに関しては,土木学会誌2021年10月号において「カーボンニュートラルと土木」という特集を組み,土木分野がどのような貢献をできるカゝ,しなくてはならないか社会に示した.個々の構造物に対しては,建設材料の視点(材料製造時のCO_2排出量低減など),構造物施工時の視点(低燃費建設機械など),構造物供用中の視点(構造物の長寿命化),構造物供用期間後の視点(低燃費解体工法,3Rなど),他方,インフラのシステムに関しては,人や物の移動時のCO_2排出低減に適した交通・都市システム,そして,CNに必要な種々のインフラ施設(再生エネルギー生産施設,CO_2貯蔵施設など)の構築,CNに適した国土設計など,土木の貢献は多岐にわたる.世界経済フォーラムも,セメント.鉄鋼業界を含む産業界がCNを達成するための5つの要素としてインフラを掲げている。 |