摘要: |
2005年(平成17年)に開館した呉市海事歴史 科学館(以下,「大和ミュージアム」という)は, 2019年10月に入り延べ1400万人の入館者を迎え た(年平均100万人).昨年は西日本豪雨災害の影 響で,前年に比べ4割減になったが,2019年度は 昨年度を凌ぎ,v字回復の兆しが窺える.
大都市圏の大規模博物館で入館者100万人とい うのは,よくあることだが,呉市のような地方の 博物館で年平均1〇〇万人の来館者を迎えるのは, 稀有といえる.
なぜ大和ミュージアムに年間100万人の来館者 が訪れるのであろうか.その理由の一つに当館な らではのユニークな展示や企画展が考えられる.
当館の展示は,来館者に好評な1/10戦艦「大 和」(以下,1/10大和という)を始め,明治以降 の呉の歴史と,近代化の礎となった造船•製鋼な ど各種の「科学技術」を,海軍の歴史等を交えて (背景)紹介している.
こうした近代の呉の歴史に,海軍の歴史等を交 えた展示手法が,来館者に好感を与えているよう である.
本稿では,大和ミュージアムの展示構成につい て寄稿するものであり,とりわけ「日本航海学会 誌」への掲載となるため,「海と船に因む」話題に 紙面を割いた.
|