摘要: |
プライシングとは価格設定のことである。交通分野ではロードプライシングがよく知られているが,オークシヨン研究でノーベル経済学賞を受賞したVickreyが取り組んだ混雑料金の研究は1960年代のもので,以降さまざまな理論研究が展開されてきた。こうしたプライシング分野における基礎研究の蓄積は,オークションなどの容量割り当て理論の進化へと結びつき,電波オークションなどの社会実装を実現するに至っている。また,容量制約付きの売り上げ最大化問題は,社会実装が比較的簡単な航空産業でも散見される。MITの研究グループが1990年代からEMァルゴリズムを用いた収益最大化問題の研究に取り組んできた,座席数の条件制約の中で,ポイントインセンティブと,予約割引を政策変数とする収益最大化問題は,プライシングをより動学·個別化するととともに,AIの進展によってパラメータリゼーション面でも進展が著しい。需要の関数化と最適化,実務上の制約条件をいかにして整理するかが実務適用への課題であり,量子コンピュータなどとの相性からも大きな期待が高まつているといっていいだろう。一方個別化はデータ蓄積に基づいて,個人ごとの価格弾力性を解析し,価格変更をすることで収益と顧客満足度を最大化していくものだ。課金の仕組みの実装も技術的には難しくないといっていいだろう。 |