摘要: |
筆者が小学校での学習支援のとき,よく感じる正直な感想である。筆者が小学校に関わり始めたのは総合的な学習の時間が導入され,学習指導要領に明記された環境や福祉を題材とした教育プログラムのニーズが高まってきた頃だったので2000年前後かと思う。当初は,今から考えると独りよがりで恥ずかしい限りの教材や学習プログラムを提案していたが,小学校の現場の先生方のよき出会いでそれなりに改善されてきたように思っていたが,それでもプログラムの定着には程遠く,感想自体はそう変わるものではなかった。そのような中,当時住んでいた市から教育委員会の委員就任の話をいただいたので,教育委員会の内側から見ると仕組みを定着させるッボがたちどころにわかるかと思って引き受けさせていただいた(当然それだけが動機ではないが)。しかし,市教委や小中学校の現場は日常業務のマネジメントで手一杯で新たに何かするという余裕はない,現場の教員も大学からストレートで小学校の教諭になっている方が多く,社会経験はそれほど豊富ではない(それゆえに専門家に対する期待と戸惑いと不安がないまぜ),現場を混乱させるだけのプログラムや仕組みの導入は慎まなければならない,ということを実感しただけで,コッも突破口も見出すことはできなかった。いまだに冒頭の感想から抜けきらぬところではあるが,それでも継続的に小学校教諭の夏季研修会や出前授業に呼んでいただいたり,出前授業の教材を使って小学校の教諭が自主的にアレンジして続けてくれたりしている例もある。 |